最近はあまり映画を観るモードでは無かったが、カウリスマキがいくつか配信されていたのでお仕事三部作を観返している。昔、改装前の新文芸坐でカウリスマキのオールナイトで観て以来のものもあったが全部良い。というか、いくつかのシーンが他の映画と混同して覚えていた。この三部作は割と年数を置いて撮られているが、その間もカウリスマキ自身の一貫性にブレは無かったんだなと思った。映画の静のシーンから感じる匂いが全く同じ。(パラダイスの夕暮れの月とか、真夜中の虹の夜のハンバーガー屋のシーンとか)
磯崎新の"空間へ"を読み終わったが、読む前後で街を歩くときの意識が少し変わった。(影響されやすいので)散歩は、歩くことでの覚醒と自分の好きな場所を季節ごとに観ることが楽しみだが、散歩者の動く視点、都市デザインの動線といった視点で見るとまた違ってみれる。これまで特に良いと思わなかったわざとらしい公園とかも、他の場所との位置関係で捉えるとその意味がわかったりする。(ただ、それによって景色自体が美しくなるといったことはないが)
自分の住んでいる地域は埋立地だからか公園でも土の濃い香りはあまりしないので
そういった意味で自然を強く感じることは少ない。その代わり、都市の虚構としての、イメージとしての自然という捉え方をすることでこれまで嫌いだった偽物の川やビオトープなんかも面白くなったりするのかもしれない。
これまでに何回も引越しをしてきたが、ほとんどの家が大きな川の近くで、自分は海や山よりも川への愛着が深いと感じる。今の家も隅田川の近くだが、浅草あたりのあの川は左右が完全にビル街であまり景色の面白さはない。江戸時代には茨城、千葉から利根川経由で木材運搬に使われたというがあのあたりまで遡ると(そもそも川は違うが)景色は断然面白くなる。
同じ水源でもそのスポットによって感じ方は違うわけで、いつか隅田川を遡って利根川までいってみたい。
磯崎新の本を読み終わって本のストックが切れたので漫画や昔読んだ本を再読する。
先週、JAXAのあるつくばに行ったのでふたつのスピカを読み返しているがやはり面白い。
この本に関しては自分の記憶のいくつかのシーンと強く結びついてしまっているので(吹雪の日に新刊を買いに行ったこととか)、冷静な目では読めないが、それでもここまで地味な作風でアメリカで翻訳されていたりドラマやアニメになったりするくらいだから、ある人には深く届く作品なのだろう。いわゆる泣ける漫画のようなクリシェで語られることが多い作品だが、それだけでなく、時間や人のずれによって街の景色が全く違って見えてくるといった自分が散歩している時によく妄想している思考の源がこの漫画の根元にはある気がしている。
バンド用の曲がいい感じになりそうなので休日は出かけずに集中して作業をする。
Aメロに歌を乗せる前のあらゆる可能性を持った状態が一番好きだが、そこから意思と偶然性をもって作業を進める瞬間もいまだにドキドキする。
バンドの曲を書いている時は聴く音楽はそれとは全然違うものを選ぶが、
今週はアメリカンクラーヴェの盤をいくつか聞いていてジェリーゴンザレスが良すぎて繰り返し流していた。Caravanのカバーは数ある中でも特出して良い。
サルサ繋がりでエディーパルミエリを聴いていたら、ベースの音が同じことに気づいて調べたらジェリーゴンザレスとその弟でベーシストのアンディーゴンザレスがパルミエリの楽団にいたことを知る。
パルミエリは有名な刑務所ライブのラスト、アズーカのサルサのリズムにバックビートが重なってくるアレンジが大好きであればっかりを聴いているがジェリーゴンザレス繋がりで別のアルバムももっと聞こうと思った。
あと、くるりの新譜が出ていて聴いたがめちゃくちゃ良くて驚く。
数年前のフジロックを配信でやっていて良いなと思った曲も入っていた。
表題曲の"愛の太陽"は"ワルツを踊れ"のボーナストラックだったブルーラバーブルーと同じリズムで良い。こういう三拍子のレゲエって他にあったりするのだろうか。
集中して作業して、本を読んで、良い曲を聴いていたらふと歌詞がバーっと浮かんできて
メロディも決まった。調子が良い。