なんとわずかな思考がその全体を満たすのか。
完璧な、隙のない、完全に、美しいものを見たことはない。
途中であり、一瞬の出来事で、未完成のままにある。
そういうものをこれまで見てきた。
その全体を満たすものが、一貫した思考によって貫かれていることはないだろう。
Frank oceanの"Endless"というアルバムを初めはどう聞いて良いかわからなかった。
途中であること、と、それが完成形たりえること、が同居できるという考えが無かった。
曖昧な状態のものをすべて"アンビエント"と片付けるような輩の批評の罠にはまっていたということもある。
”終わりをなくした”というのはアルバムをエンドレスリピートできるくらいBGM化したという意味ではないだろう。ラストに四つ打ちがくるのだからループしようがない。
それよりか、完成しない、終わり方をなくした曲たちが集まったアルバムであると考える。曖昧なまま飛散し、空気中へ漂うがままの状態を捉えること。肯定も否定もせず、起承転結もなく、それでもエレメントが現れるという状態を示すこと。
昆虫キッズの昔のライブ音源が無料配布されていたので本当にずっと聞いている。
三枚目のアルバムが出る前の頃の音源だと思う。
音源を聴いていてFrank Oceanを思い出した。昆虫キッズも途中であることを恐れていなかったバンドのように思う。(バンドなのに!)
27歳という曲があまりにも好きすぎてファーストアルバムを永遠に聞いていた時期があるが(ライブ盤が最高)
今回の音源を聴いて、セカンドの曲もいいなと改めて思った。
サマータイマーや太陽さんも素晴らしいが、"いつだって"や"ふれあい"、"S.O.R"の無茶苦茶なアレンジが素晴らしい。(このあたりのアレンジは今有効な気がして、もうちょっと真剣に聴きこもうと思った)
自分の作曲作業が佳境で、映画などを見る余裕がない。
本は相変わらず読んでいるが、映画の代わりに漫画をまたよく読むようになった。
内田善美氏からぶ〜けコミックのヤバさを知って古本屋で見つけては買っているが、そんな頻繁に見つかるわけでもないので、マンガ夜話をみかえしたりして言及されている知らない漫画を読んだりする。
羽海野チカ氏のハチミツとクローバーは流行っていた時には全く読んでいなかったが、大人になってマンガ夜話の特集を見た後に買った。
8巻までが本当に素晴らしいが、雑誌の休刊などの関係からかラストあたりの整合性が取れていないのが残念だ。(この辺の話は特に調べていないので詳しくないが、森田さんの話が終わったあたりが雑誌休刊のタイミングだろうか、それでラスト2巻の竹本くんの話が駆け足で少し物足りなく感じてしまう。もっと読んでいたいという欲もあるのだろうが)
ハチミツとクローバーが予定通りの終わり方なのか、新しい雑誌社の方針で終わったのかはわからないが、
連載漫画となると、ある程度最初に決めた終わり方に向けて話が進んで行くのだろうから、休刊となっても何かしら決着をつけなくてはならないのかもしれない。
何かのかけらとして、全く決着をつけず、それでも作品を放棄せず終わらせられるやり方があったらおもしろいなと無責任に考えたりもした。(スラムダンクのラストとかそれに近いのかも)