パラレル通信

composer/Gaspar Knowsの中のひとり/神楽音楽研究中。 平日は某ゲーム会社にいます 連絡→outtakesrecords@gmail.com

25時のバカンス

壺井栄二十四の瞳が良すぎてびっくりした。映画しか見たことがなかったので、たまたま本屋で原作を見かけて買ってみたのだがリチャードパワーズが”舞踏会へ向かう三人の農夫”で膨大な文量を使って表そうとしたことをとても端的に行なっていると感じた。一枚の写真を巡るその後と前の話と時間の遍在性についてここまで簡略的に表せるものかと感動した。

新しい曲を書いているのだが、どうも作りたい感じにならずに悩む。

ただのエイトビートやトラップっぽいことをやるのにも飽きているのでレゲトンやビートレスのアレンジも考えるがうまくはまらず。なんとなくコード感だけはつかめてきているがもう人押しがあれば形になるかと思う。

斉藤由貴のLOVEがアナログ化されると知って、いままで意識して聞いていなかった山口美央子を聞いたら自分のツボに完全にハマってしまった。その昔ムーンライダーズ関連の曲しか聞いていなかった時期があったが、あの時に聞いていたら確実に愛聴していただろうと思う。今聞いても素晴らしいが、時代性も伴っているアレンジではあるので自分の曲に活かせるかと言われると絶妙なところで、そういう意味では斉藤由貴のLOVEの音響面を参考にできるかもと考えたり。

 

ここ数年で、バンドによる楽曲が少し注目されつつある気はしているがKing Kruleがやっていることが自分としては一番しっくりきている。音を鳴らしすぎずにバンドをやれるというのは結構難しいが、音数が少ないこと=静かな音楽、ではないということをKing Kruleを聞くと気づかされる。エコーの中に内在する歪み。

去年あたりから見直し始めたバンドでの自分の機材もある程度目処が立ってきて、理想の音に近づいてきている。吉村秀樹の影響でずっと使っていたダイナコンプを外したらサスティンと音の潰れすぎない感じがかなり良くて、自分なりのセッティングを探さなければというきっかけになった。もともとグラフィックイコライザを中心に音を作るというかなり特殊なことをしているのでそもそも他人のセッティングは参考にならんということも今更わかったり。

 

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平日にゼルダの新作を全クリしてしまい時間ができたので映画を観に行く。

レイトショーで21時台が復活していて助かる。この時間に行くと人が少なくて快適。終わった後の人のいないショッピングモールを歩けるのも良い。

 

ちょっと気になっていたアフター・サンを観たのだが普通だった。A24の映画との相性はすこぶる悪い。

描きたいことはかなり明確にわかるのだが、それにしては大人パートの演出が適当すぎるように思う。あとはガラスやTV画面に反射して人物を移すというのを頻繁にやっているが、全編を通してそもそも画面が人物に寄りすぎているので、場所や物の位置関係がほとんど消し飛んでいてそういった面白い構図も生きていないように思えた。(子供である主人公の主観で撮りたいということなのかもしれないが。昔見た"潜水服は蝶の夢を見る"という映画でも同じことを思った記憶がある)

 

ただ、映画を観れる気持ちにはなってきているので家でも何本か観る。

相米慎二台風クラブを数年ぶりくらいに観てやはりすごくて興奮した。冒頭のプールのシーンから最後のグラウンドまでずっと(本当にずっと)テンションが高いまま突っ走る感じ。

北野武の"首"も楽しみなので公開の11月までに全部観直そうかと。

 

年代順に"その男、凶暴につき"を観る。

自分はもうその後の作品を知ってしまっているのでそこまでの驚きはないが、中盤からラストにかけての光の使い方はめちゃくちゃカッコ良い。当時の人は北野武がいきなりこれをとったのだから衝撃だったろうなと思う。

あと、台風クラブその男、凶暴につきも途中で女の登場人物が松田聖子を口ずさむシーンがあって色々と考えてしまう。

 

 

本屋で井伏鱒二と有吉佐知子を購入。今年初めに志賀直哉にハマって、壺井栄にやられて。日本の文学をちゃんと読みたいモードになってきている気がする。

 

夏にマンションの更新があるのでそろそろ引っ越すか検討もしたいと考える。

明日は清澄白河あたりに古本屋巡りがてら物件見学に行く予定。