パラレル通信

composer/ゲームハードの音周りのお仕事/神楽音楽研究中。 平日は某ゲーム会社にいます 連絡→outtakesrecords@gmail.com

遠い雷鳴

なんとなく海街diaryを読み出したら一話目があまりにも良すぎて泣いた。たしか一巻が出た時に買っていて、その時はちょうどふたつのスピカも連載中でそちらに夢中だったのと、同じ鎌倉が舞台だけれど海街の方はちょっと地味すぎて心地よいけど良い話の漫画以上にはならなかった。(ふたつのスピカも地味だが、良い話でまとめない謎の歪さがあってあちらも素晴らしい)

完結してから数年経って全巻買い直してその時も感動した記憶はあったのだけど、読み返しはしなかった。描いている話があまりにも人生の話であるので、一度読んでいればそれでもう地肉になるくらいの強さがある作品ではあるが、ほぼ忘れた状態で読み返してまた同じようにクラっている。

一話の"蝉時雨のやむ頃"で最後の最後に蝉時雨の擬音が消えて、すずの鳴き声もかかれないカットの静かさと悲しさと、ああこれは漫画でしか描けない、という演出にとんでもないなと思った。正直、吉田秋生は結構絵がばらつく印象で桜の園あたりの絵が一番好きでそれ以降は線が柔らかくてちょっと心許ない感じと思っていたのだけれど、その危うささえもこの作品の魅力のようにも思う。背景もきちんと書かれているけど、白が基調になっていて、それでも木々や、草花の描写できちんと濃淡があって心地が良い。連載当時は2巻くらいで追うのをやめていて、それは新刊が出るペースがかなり遅かったからで、今見ると大体2年に一巻のペースのようだ。それもこの演出を見れば納得するというか、漫画において音をきちんと演出として(しかも音楽漫画とかでなく、自然の音を使って)機能させている作品を不勉強ながら自分はあと白山宣之の地上の記憶(の最初の2作)しか知らない。

今は6巻まで読んだが、朝ドラみたいな話だなと思ったり、長く続くことでおんなじ話が何回も語られたりするところにちょっといなたさを感じたりはするけれど、演出の冴えが凄すぎて全く強度は変わらず読める。

今連載している歌詩川百景も途中で止まっていたが(こちらは海街の後に読んだのですごいと思いつつも、一気読みできない辛さがあってやめた)完結したら全部読みたい。

 

 

 

それで、当たり前のように鎌倉に行きたくなって色々とポイントを探り始める。数年前にそれこそふたつのスピカの風景を見たくて極楽寺周辺に行ったけど静かで良い街だった記憶。(ホテル見たら11月ごろは紅葉らしくて5万とか平気で言っててビビる。京都と違って日帰りできるけどゆっくり泊まりたいな)

 

物件サイトを見ていたらずっと気になっていたマンションに空き部屋が出ていたので内見に行く。八丁堀と月島の間。たしか三月のライオンの主人公の部屋のモデルになったところだったはず。窓から隅田川と中央大橋が見える部屋で設備は古いけど景色は最高だった。リバーサイドのランニングコースも徒歩数秒なので環境としては最高だなと思ったが駅から遠いこともあってちょっと迷う。

とりあえず保留して佃~月島周辺を歩く。この辺は諸島のような感じで小さい島がいくつか橋でつながっている区画で街と街の間に水路が張り巡らされていて面白い。碁盤目状の道ではあるが島と島の位置が斜めになっていたりするので、向こう岸がこちらから見て斜めな道になっていてあくる人を見ると、頭の中では道がない場所に向かって歩いていくので面白い。

佃の小島にいい感じの神社があってそこを抜けると隅田川のテラスに向かう階段の前に赤い鳥居があった。そこを抜けて進むとなぜか森深い公園があって、中央大橋→川沿いの公園→佃の区画→神社→中央大橋という感じでぐるっと回ってきていたイメージだったのでその真ん中に森があるなんて想像してなくて地図にない場所のようで面白かった。

公園も多いし、月島まで行かなければ人もそんなにいないので静かに暮らせそう。川沿いの公園もベンチがたくさんあっていいけど、残念だが隅田川のにおいはここでもよろしくない感じで、鴨川を見てきた後だと全然違う環境だなと思ってしまう(当たり前だが)東京だと西の方の野川まで行かないとちゃんとした自然の川はないよなー。