パラレル通信

composer/Gaspar Knowsの中のひとり/神楽音楽研究中。 平日は某ゲーム会社にいます 連絡→outtakesrecords@gmail.com

2022-01-01から1年間の記事一覧

どこにもないところからの手紙

ウォンカーウァイを克服しようとしていくつか作品を見るが全部途中で断念。 岩井俊二を、もうきちんとした気持ちで見れないのと同じで、思春期にしか見れない映画のような感覚(それが悪いわけではない、とは思う) 代わりにホン・サンスをいくつか観返してい…

伊藤重夫-踊るミシンについて その1

-introduction- 伊藤重夫さんの踊るミシンという漫画のオリジナル版(のちに復刊版が出る)の帯には以下のような煽りが書かれている。 “踊る美少女 飛びまわる鳥男 7月の海岸” そしてこの漫画を読み終わった人たちはこの帯文に深く納得するだろう。なぜなら、…

夜と忘却の機械と音楽とサンタクロース

レヴィ=ストロースの著作を読みかえしている。 サンタクロースに関する論文を読んだことがなかったが中沢新一の訳で出ていたので購入。 構造主義は字面やwikiの流し読みだと、単なる文化の共通項の洗い出しのように見えてしまうがこの論文を読むとそのラディ…

J・Gバラードの砂漠の世界/ J・Lゴダールの並行宇宙の音楽

MTRという機械がある。マルチトラックレコーダー。トラック一つに音源を一つ記録できる。それを同時に再生すると一つの音楽となる。 音楽の録音の歴史の始まりは、当然ながら同時録音だった。マルチではなく一つのトラックに全ての音が記録される。 マルチト…

ノスタルジア、ウルトラ

タルコフスキーの映画術のエッセイが文庫で出たので購入。かなり込み入った、しかし真摯に映画を撮ろうとしている様が書かれていて少し感動する。 同じく文庫化されていたガルシア=マルケスの中短編を読んだらやたら良くて、諸々読み返している。ガルシアマ…

西荻窪にある架空の古い映画館では...

三年前に山梨の武川村という場所に行って川遊びをした。 武川村は写真家の深瀬昌久の別荘があった場所で、森山大道のエッセイの中にその別荘での夏の出来事が書かれたものがあって知った。 武川村に流れる釜無川で川遊びをした時、一緒に行った友達以外に人…

outward bound

エリックドルフィー で一番好きなアルバムはoutward bound(邦題:惑星)。 郊外へ向かう道がいつの間にか宇宙へとつながる。 引越しの多い人生だが、浅草近くのいまのマンションがこれまでで一番長く住んだ場所になってしまっていて最近すごく停滞感を感じる…

美しき冒険旅行

インプット過剰な状態を改善したくて去年から新しいバンドを始めた。 月一程度のスタジオ活動だが曲もできてきて楽しい。 始めた当初はBloodthirsty Butchersみたいな事を今やりたいと思ったのがきっかけだったが、その感覚はまだある。(というか日毎に強く…

GET ROUND IN THE SEASON

エリックロメール の四季の物語は結局すべてDVDで観た。 結果としては何度も観たくなる映画ばかりでDVDで買ってよかった。 とにかく恋の秋が素晴らしすぎで、興奮してしまった。 ここ数年で観た映画だと鎮西尚一のring my bellと同じくらい感動した(まったく…

スペースゴールデンウィーク

GWは10連休だったので地元へ帰り、 電車で生まれた街へ行って水路を巡ったりしていた。 水路 長期休みは本をたくさん読みたくなるが 今年はリチャードパワーズを読んでいたので控えめに。 法条遙のリライトシリーズ、綿矢りさ、ルシア・ベルリン等々を読む。…

Whatever I want(How we walk on the moon)

ビー・ガンの映画を観て映画欲が出てきたので、中国、台湾圏の映画を色々観ている。 エドワード・ヤンを観返していて改めてこの人は群像劇を群像劇ではない形で作品化した人なんだなと思う。初期の台北ストーリーはそれ以降の各作品に見られるテーマが散見さ…

カッコウが鳴くあの一瞬

arauchi yuのライブを見に渋谷へ行く。 その前に時間があったのでユーロスペースでレオスカラックスのアネットを観る。 カラックスはポンヌフの恋人が苦手でそれ以来観ていなかったがスパークスが音楽、原案ということで観た。 流れで初期の作品も見たが、こ…

パラレルフォトグラフィ(平行写真)

平行写真という概念について考えている。 ステレオグラムのように左右の目の視差で立体化する写真ではなく、 ステレオグラムのように並んだ写真をそれでも別のものとして捉える事。 パラレルな連続体(あるいは並行世界としての非連続)として捉える事で その…

砂の女かもしれない

例えば知らない街にいって、そこにある路線バスに乗ったとする。 そうすると高確率でなんだかよくわからない名前のバス停に行き当たる。 電車であれば地名が駅の名前になるが、路線バスの場合、停車場所が同じ地名の中に複数あるので、より具体的な場所の名…

染井野住宅地 幻想紀行

祝日で天気も良いので思い立って小旅行へ行った。(日帰りで千葉で散歩するだけだが) 京成臼井駅の南口の丘にある染井野住宅街。 南口の王子台にあるブックオフの品揃えが良いのでこの辺りには遠征がてら良くいく(サガンの短編がなぜかいっぱい売っている不…

Memen To Memory

土曜日。ずっと見たかった中平卓馬のドキュメンタリー映画(カメラになった男)がyoutubeに上がっていたので見た。 成為相機的男人——攝影家 中平卓馬 - YouTube ドキュメンタリーというと中平卓馬に絡まれそうだが。 逆行性記憶喪失がどういった病気かは詳しく…

噛みながら

最近いろんなところでサブスクとCDの比較をする記事や文章を事を見かけるようになった。 ゼロ年代で、高校生で、田舎にいて、サブスクもなくてお金もない。そうなるとひとつのCDを擦り切れる(CDなので傷つく?)まで聞いたみたいな話。 確かに自分も田舎で高…

光るゴミ-404Not Found-

ヨコハマ買い出し紀行を読み返している。 武蔵野国とヨコハマで生えている草の種類が違うことに気がつく。 散歩をすると、自分の中の回路が開く瞬間が必ずあって それは記憶の中のいくつかの場所につながっている。 森山大道は引越しの多かった自分には故郷…

楽園のかけら

2022年になってから読書の量を減らそうと決めた。 ここ数年は週に3冊ほどのペースで本を読んでいたが(ビブリオマニアの人からしたら全然少ないのだろうが)そのせいか、自分の中で言葉に縛られるように感じる瞬間が何度かあった。 年明けに細野晴臣と中沢新一…