パラレル通信

composer/Gaspar Knowsの中のひとり/神楽音楽研究中。 平日は某ゲーム会社にいます 連絡→outtakesrecords@gmail.com

黄金虫変奏曲

海外帰り、北京空港の乗り継ぎを完璧にこなして3時間くらい空きができたので空港を散歩したり夏目漱石三四郎を読み進めたりしていた。

帰国後、近所のコンサートホールでオラフソンと清水靖晃がそれぞれゴルトベルク変奏曲をやるライブがあったので行った。

オラフソンは鬼気迫る演奏でアンコールもなし、完璧に自分の演奏をしていてすごかった。清水靖晃の方はサキソフォネッツでの演奏で結構和気藹々といった感じだったがいくつかハッとする瞬間もあり良かった。ライブ中はずっとリチャードパワーズの黄金虫変奏曲のことを考えていた。一つの場から来たものがあらゆるものへと変奏する可能性があるということ。

 

youtubeでずっと聞き返したかったdaisy holidayの音響について語っている回が上がっていて聞く。リアルタイムで聴いた時も思ったが、かなり精度の高いことが語られている。

 

コードやメロディではなく音響そのものへのアプローチが優先されるという感覚はわかる(といってもすでに5年前のラジオだが)

 

Frank Ocean以降でデモ音源のような構造の曲が増えたが、それはPANの振り方が左右の二次元世界でなく三次元に配置できるようになったことで、わりと無茶な構造の展開やSEでも成立できるようになった空のように思う。それももう7年前の話で、特に日本ではまたメロディ志向に回帰しているようにも思うが、音数の少なさは世界的な感覚としてまだ残っているだろう。コードもシンプルに展開も少なく、ただし音自体は優しくそして過激に。

 

 

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