パラレル通信

composer/Gaspar Knowsの中のひとり/神楽音楽研究中。 平日は某ゲーム会社にいます 連絡→outtakesrecords@gmail.com

そして船はゆく

島田虎之介トロイメライと9月10日を購入。トロイメライで初期の完成は一度迎えてる感じ。解説にも出ていたヘルツォークのフィツカラルドを見かえそうと思ったがDVD見当たらず。

先週まで作っていた曲をいじる。エフェクターのセッティングを変えたらいい感じのリフができた。歪みの組み合わせで倍音が変わるのでギターだと結構セッティングに作曲が左右されるなと思った。

来週京都に行くのでチケット取ったり色々準備をする。4年ぶりくらいだろうか。

 

日影丈吉の傑作短編集を読み終わって、最初は折口信夫絶賛みたいな紹介だったのでもう少しアカデミックな小節なのかと思ったがガッツリ幻想文学でよかった。泥の汽車がとてもよかった。マジックリアリズムには行かずにあくまでフィクション内でとどめている感じが少し見るハウザー的というか夜の姉妹団を思い出した。

夏目漱石を年代順に読むやつは門が中途半端すぎて止まっている。というか古井由吉を知ってしまったのでそちらに興味が移ってしまっているがそろそろ彼岸過迄を読み出したい。

 

先週、バンドメンバーが書いた曲に歌詞をつけた時、フィクショナルな世界で歌詞を描く楽しさに気づいてしまった気がする。これまでは割と生活圏内で書いていたが、かなり飛躍しても内部に核を残しておけば自分のものとしてかけるということがわかった。そういえば最近DEEP RUMBAのセカンドを聴いていてライナーにキップハンラハンが書いた文を思い出す。ラテンを伝統音楽でなくポップス化すること。文化への憧れでなく、前進を求める姿勢をとること。根底を変えずに先へ進もうと試みること。そういった言葉を思い出した。

 

週末にフィツカラルドが見つかったので観る。コンラッドの闇の奥が原作と勘違いしていた。最初と最後のドラマパートは正直そこまでだが、川下りから山越えのところは本当に素晴らしい。闇を闇として、民族を民族として取れていて本当に人間が撮った映画なのかと思う。ジャングルで太鼓の音だけで先住民族が"そこ"にいることを演出してさらに画面は森も敵も映さずずっと主人公と船長のカットで続けていくシーンは震える。音とカットによって映画でしか見せれない何かに至っている。

先週からの流れで小津安二郎の早春も見る。傑作。

人の移動のあっけなさ。一瞬で東京を去るがその列車のカットによって未来が過去がつながっていく感じ。いつかあの線路に乗ってやってきていつかさっていく、そのストレンジャーさが小津安二郎の映画の切なさの根幹にある気がする。