パラレル通信

composer/Gaspar Knowsの中のひとり/神楽音楽研究中。 平日は某ゲーム会社にいます 連絡→outtakesrecords@gmail.com

足元に流れる川

年末なので実家に帰っていた。

最近は長期休暇を長くとれるので、世間が休みに入る前に帰省し、生まれた街を散歩していた。

街を歩きながら、これまでいくつかの川のそばで暮らしてきたなとふと思った。

生まれた街の近くには富山の中心を流れる神通川の支流があって、

その土手沿いの風景や、あぜ道から眺める土手とその向こうの森の景色は自分が最も好きな眺めの一つだ。

 

休みなので本を多く読む。富山の名物ブックオフ(パチンコ屋の居抜きで城のような外観のブックオフ)が今年の夏で閉店して駅前ビルに移動していたので尋ねる。

 

ここ数年でCDコーナーの縮小が目に見えて進んでいたが、この新しい店舗でも同じで、さらに本のコーナーも減らされていて悲しかった。(時代の流れでトレーディングカードのコーナーを増やしていたのと、駅前ビルという立地でそこまでフロアが広くないのが原因かなと思った)

 

ブックオフでは再読するための本や、好きな作家のマイナーな本を買うようにしているが、久々に沢木耕太郎が読みたくなって深夜特急の裏話的な本を購入(旅する力)

 

多分、高校の図書館で深夜特急を読んで以来に沢木耕太郎を読んだはずだが、自分がこの人にかなり影響を受けていたことに気がついた。

旅をするときの目的地の決め方や、やたらと散歩にこだわるのは

沢木耕太郎が列車や船でなく、バスを使ってデリーからロンドンを目指した理由に無意識に影響を受けていた。

 

目的地に向けて旅するのではなく、その過程で擦過するものを捉えること。

(要約して”結果でなく過程を楽しめ”と書くとなんだか凡庸な考えに見えるが、

擦過する中で見つける未知のものを楽しめる力を持つことそれ自体が重要だということだと思う)

 

そんなことを思い出しながら自分の街を散歩していたので

川という一つの指標を元に、一駅後で降りて、川沿いに自分の街まで歩くという、これまでのコースを辿ってみた。

 

帰省のたびに同じコースを歩いていて、それはそれでその変わらなさと変わった部分の差分を楽しめていたが、改めて慣れていない道を歩くことで全く違う楽しさを感じることができた。

 

野生の思考で捉えると、

閉じてしまったサークルの外に出てその外側から、外側と比較しながらサークルを見ることで関連性と、非関連性が見て取れて面白い部分を改めて発見することができた。

 

染井野住宅街

友達が流行病でホテルに隔離されているので

差し入れがてら早めに帰京した。(マルセルモースの贈与論を読んでいたのでポトラッチをして見たかったというのもある)

 

お正月を久々に東京で過ごすので関東でも色々と散歩をしようと計画している。

今日は整理でいらないエフェクターがいくつか出てきたので

それをハードオフで買取してもらうついでに染井野を歩くことにした。

 

去年、よくいく臼井のハードオフの向こうに面白い住宅街があるのを知って

休みのたびに通っていたが今日は沢木耕太郎的思考に従い、これまでせめていなかった道を辿った。

染井野住宅街はいわゆる高級住宅街で、道も整備されていて公園なども豊富だ。

高級住宅街の特徴として丘の上にあることが挙げられるが、染井野もまさに丘の上にある街で高低差が面白い。

 

また、住宅街は碁盤目状の区画をいくつか繋いで、その間に大きな公園や学校や高速などがあり、そういった中間の施設沿いをまっすぐ歩いているとぐるっと一周してさっき見た風景を違う角度で発見したりできて面白い。

さらに高低差によって階段や行き止まりも多く、丘の上にあった公園を抜けると抜けの良い景色と下に降りる別の階段があって、いきなりまったく別の区画へアクセスできるようになっていたりする。

 

ここで暮らせば一生散歩に飽きないように思えて少し羨ましい。

 

今日は染井野をぐるっと回って臼井にもどったが

臼井から佐倉の方へ歩けば川もあるようで、今度はそちらまで歩いて見たい。

 

エフェクターを売ったりして無意識に身辺整理をしている感じもあり

今年は引っ越ししそうだなと新年からなんとなく思った。(こういう無意識の行動は割と良い結果になるので見逃さないようにしたい)